賃借人が家賃を滞納した場合において、賃貸人が家賃滞納に対してどのように対応すればよいかについては以前の記事で解説をしました。

今回は、家賃を滞納する賃借人に対して明渡請求をした場合、どれくらいの期間で明渡しが完了するかについて記事を作成します。

注意点を先に言うと、明け渡し請求をしてから明け渡しが完了するまでの期間は、家賃滞納をしている賃借人の対応次第ですのでケースバイケースと言わざるを得ません。

賃借人の対応と交渉次第で明け渡しまでの期間が早くなる可能性もあれば、時間がかかる場合もあります。

もっとも、明渡しを請求してから完了するまでどれくらいの期間がかかるか気になる方もいらっしゃると思いますので、相手方が内容証明郵便による解除通知に対して特に返答をしなかったため、訴訟を提起して判決後に強制執行をして明渡しを受けたという架空の事例を一つのモデルケースとして、明渡しが完了するまでにどれくらいの時間がかかるかについて解説をします。

内容証明発送後訴訟の第1回期日までの間に1ヶ月半程度かかる

家賃滞納をした賃借人がいる場合、まずは、賃借人に対して配達証明付の内容証明郵便で解除通知を発送します。

この内容証明郵便では、7日から14日の期間内に賃料を支払うよう催告をした上で、支払わない場合はあらためての意思表示なく解除をする旨記載して発送をします。

もっとも、内容証明郵便が家賃滞納をしている賃借人に届いたものの、特に賃借人から連絡が来ない場合もあります。

この場合は、賃料支払の催告期間満了後に家賃を滞納している賃借人を相手方として訴訟を提起します。

この訴訟の提起から第1回期日までに大体1ヶ月程度かかりますので、内容証明発送して訴訟提起後第1回期日までの間に大体1ヶ月半程度かかることになります。

解除通知の到達や訴状の送達ができない場合は更に時間がかかる

なお、以上は家賃滞納をしている賃借人が解除通知を素直に受け取った場合を想定して記述していますが、賃借人が解除通知の受け取りを拒否している場合や賃借人の所在が不明の場合もあります。

この場合は、解除通知が家賃を滞納している賃借人に到着しないと解除の意思表示が効力を発しませんので、解除通知が相手方に到着するための別の手段を講じなければいけません。

この手段をとると、時間がまた1週間から2週間ほどかかりますので、相手方が解除通知を受け取らない場合は、家賃滞納をした賃借人が解除通知をすぐに受け取った場合と比べて時間がかかることになります。

また、訴訟を提起した場合は、裁判所は家賃を滞納した賃借人に対して訴状を送達するのですが、家賃滞納をした賃借人が訴状を受け取らなかったり、賃借人の所在が不明の場合は、現地調査等をしなければいけません。

この場合も、現地調査の時期によっては再度第1回期日を調整する必要がでてくるため、更に解決まで時間がかかることもありますので、この点に留意する必要があります。

相手方が欠席した場合は第1回期日から1~2ヶ月以内に判決がされる可能性が高い

訴状を相手方が受領した場合で第1回期日において相手方が欠席した場合は、家賃滞納をした賃借人は賃貸人側の主張する事実を争わなかったものと扱われます。

この場合は、第1回期日の時点で判決ができる状態になり、第2回目で判決が出されることもあります。

また、裁判官によっては、念のため第2回期日まで様子を見て、第2回目でも同じく家賃滞納をした賃借人が欠席をした場合に第3回目で明渡しの判決を出すこともあります。

裁判官が設定する期日の間隔にもよりますが、第1回期日から判決を出すまでに大体1~2ヶ月の期間を見ておけば良いでしょう。

ただし、これは相手方が欠席した場合の話であり、家賃滞納をした賃借人が出席し和解の話をした場合や、賃借人から反論がされた場合は、期日が重ねられ、解決までに時間がかかる場合もあります。

逆に、賃借人との間で和解がまとまれば、早い時期に明け渡しが完了することもあります。

あくまで上記の期間はケースバイケースであることには注意が必要です。

判決が出てから強制執行が完了するまでは約1ヶ月から2ヶ月程度

判決が出た後、強制執行が完了するまでは約1ヶ月から2ヶ月程度を見ると良いでしょう。

判決が出た後、相手方に判決が送達され、判決送達後、相手方が明渡しをしない場合は、強制執行の申立をすることになります。

この場合、強制執行の申立後、明渡催告及び強制執行の断行の手続を経て明渡しが完了するのですが、大体判決がでてから明渡しが完了するまで1ヶ月から2ヶ月程度かかるとみて良いでしょう。

終わりに

以上、賃料滞納をした賃借人に対し解除通知を発送したものの、賃借人が判決に至るまで明渡しを行わなかったため強制執行を行ったという架空の事案において、明渡しまでにかかる時間が大体どれくらいであるかについて解説をしました。

繰り返しになりますが、相手方の対応によって、明渡しまでの期間が変わりますので、明渡しまでの期間はケースバイケースになり、上記はモデルケースになります。

本記事は、明け渡しを完了するまでにどれくらいの期間がかかるかイメージするために作成しました。ご参考になれば幸いです。

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