相続が開始した後預貯金の通帳を確認したところ、預貯金が使い込まれていた形跡があるということがあります。

この場合には、預貯金の使い込みをしたと疑われる相続人に対して、不当利得返還請求または不法行為に基づく損害賠償請求を行うことになります。

なお、不当利得返還請求等を行うための手続や収集すべき資料及び使い込みの訴訟で勝訴するための要素についてについては、相続開始後に遺産預貯金の使い込みが発覚した場合の対処法で解説をしたので、ご参考になさってください。

さて、この不当利得返還請求または不法行為に基づく損害賠償請求はいつまでであれば請求が可能でしょうか。

今回は、預貯金の使い込みがされたと疑われる場合に提起する不当利得返還請求及び不法行為に基づく損害賠償請求の時効について説明をしていきます。

 

不当利得返還請求権の時効は10年、不法行為に基づく損害賠償請求は20年

使い込みがされた場合は、不当利得返還請求という構成をとることもできますし、不法行為に基づく損害賠償請求と言う法律構成をとることもできます。

まず、使い込みに対して不当利得返還請求をする場合、不当利得返還請求は使い込みがされたときから10年以内であればこれをすることができます。

例えば、平成20年3月21日に使い込みがされた場合は、平成30年3月21日までであれば返還請求ができ、それを超えてしまうと、時効により不当利得返還請求はできなくなってしまいます。

次に、不法行為に基づく損害賠償請求の場合は、使い込みがされてから20年以内であれば、請求をすることができます。例えば、平成9年に使い込みがされた場合は、平成29年まで返還請求ができるのです。

このように、不当利得と不法行為に基づく損害賠償請求では請求できる期間が異なりますので、使い込みがされてから10年経過していて不当利得返還請求ができなくなった場合でも、不法行為に基づく損害賠償請求であれば、時効にかかっていないこともあるため請求が可能になることもあります。

不法行為に基づく損害賠償請求は損害及び加害者を知ってから3年以内に行使する

ただし、不法行為に基づく損害賠償請求の場合は、損害及び加害者を知ってから3年以内に知ってから3年以内に権利行使をしないと時効により権利が消滅してしまいます。

この場合、3年と期間が若干短いので時効については注意が必要です。

ただし、損害及び加害者を知ってから3年以内なので、例えば、被相続人が亡くなった後5年経過後に通帳が発見され、中を見たところ使い込みの形跡があった場合は、その通帳を見た時から3年ということになります。

 

時効にかからなくても立証が困難になることが多い

以上は時効に関する話であって、立証についてはまた別の注意が必要です。

すなわち、時効にかかっていないとしても、期間が経過してしまうと証拠が残っていないことも有り、使い込みを立証できなくなる可能性もあります。

例えば、使い込みの訴訟で、被相続人の意思に反する引出であるというために、被相続人の当時の状態を立証をするため介護認定資料を市区町村から取り寄せることがありますが、介護認定資料は5年や3年で廃棄されてしまうことがあります。

そうすると、被相続人が当時預貯金が管理できなかったことを立証できなくなってしまう可能性があります(その場合他の資料で立証するしかありません。)。

このように、時効の問題をクリアしたとしても、立証の面で不利な点が発生してしまうことがあるのは頭に入れておく必要があります。

終わりに

以上、使い込みにおける時効について解説をしました。

使い込みを追及する場合、長い場合で20年間の権利行使が可能ですので、時効についてはあまり心配しなくて良いでしょう。

ただし、上述したとおり、立証の面で不利益が生じる可能性があります。

証拠が散逸してしまうと、使い込みを立証できなくなってしまう恐れがありますので、できる限り早い時期に動き出す必要があります。

遺産である相続預貯金の使い込みについてお悩みの方は弁護士による無料相談を実施しておりますので、下記お電話番号にて、またはホームページもしくは本ブログのメール相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

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