いつもは財産管理をしていた相続人によって相続預貯金の使い込みがされた場合に、どのような手続を選択して使い込まれた預貯金の返還請求を行うべきか、または、どのような要素があれば使い込みについての返還請求が認められやすいか等返還請求をする側の立場の記事を作成していました。
今回はそれとは変わって、自分が訳あって親族の財産管理をすることになったが、将来他の相続人から被相続人の遺産である預貯金を使い込まれたと言いがかりをつけられて紛争になることを予防したいと考えた場合に、どのような手段をとれば紛争の予防をすることができるかについて解説をしていきたいと思います。
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生活のために必要な費用はできる限り口座引き落としにする。
使い込みを疑われないためには、使途が分からない引出を減らすことがまずは大切です。
使い込みというのはいわゆる使途不明金にあたるので、使途が通帳上わかれば使い込みとはいえなくなるからです。
そこで、生活をする上で必要な支出はできる限り口座引き落としにして、被相続人の預貯金を何に使ったのかが通帳上明らかになるよう記録を残しましょう。
例えば、介護施設の費用や介護サービスの利用料、被相続人と同居してる場合は水道光熱費や税金等、口座引き落としが可能なものはできる限り現金で支払わないようにしましょう。
使ったものに対する領収書等の記録は残しておく
口座引き落としをすることが望ましいのはいうまでもありませんが、全ての支出について口座引き落としをすることは現実的ではなく、生活費を現金で支出しなければならないこともあると思います。
その場合は、領収書をできる限り残しておきましょう。これらの領収書があれば、本人の生活費のために使ったということが立証できますので、他の相続人から使い込みの請求をされたときでも自分の身を守ることができます。
特に、生活上大きな支出をする必要があった場合は、支出が大きいにもかかわらず領収書が無いこと自体が不自然と考えられてしまうこともあります。したがって、財産管理をする以上は支出をした場合の記録をしっかり残しておきましょう。
引出額はできる限り少なく、かつ、毎月定額の金額にする
親族の生活状況によって必要な生活費というのは異なるので、一概にいくらであれば多いとは言えませんが、年金等の収入状況や従前の生活スタイルと比較して、引出金額が大きければ、預貯金の使い込みを疑われてしまいます。
したがって、毎月の支出額と比較して高額な引出についてはできる限りこれを行わないようにしましょう。
また、通常の生活をしていれば、月によって引出金額が大きく異ならないことの方が多いと思います。
したがって、特段の必要性がなければ、毎月決まった額を引き出し、毎月の引出額よりも大きな支出があった場合は、それを記録にしておきましょう。
終わりに
以上、使い込みを疑われないためにするための予防措置について記事を作成しました。
自分はおかしなことをやっていないと思う方もたくさんいらっしゃるとは思いますが、不正を疑われて嫌な思いをしないためにもきちんと証拠を残して、ある程度の説明ができるようにすることが大事です。
本記事を参考に、親族の財産管理をする場合は、記録を残しておく習慣をつけ、紛争を予防できるように意識するよう気をつけましょう。
使い込みについてお悩みの方は無料相談を実施しておりますので、下記お電話番号にて、またはホームページもしくは本ブログのメール相談フォームからお気軽にお問い合わせください。