相続が発生し、被相続人の遺産である預貯金を確認したところ、ほとんど預貯金の残高が残っていなかった、このような場合は被相続人の財産を管理していた相続人によって、遺産である預貯金が使い込まれていた可能性があります。

遺産である預貯金が使い込まれた場合、預貯金の使い込みをした相続人に対し不当利得返還請求を行うことが考えられます。

もっとも、預貯金が使い込まれてしまいほとんど残っていない場合でも回収できるのでしょうか。
以下では、遺産である預貯金が残っていない場合にどのように回収していくかについて解説をしていきます。

 

被告に財産が全くない場合は、訴訟で勝ったとしても回収できない

まず前提として、裁判の結果、遺産である預貯金が被告によって使い込まれたと裁判所に認められ判決を得たとしても、被告に財産が全くない場合は実際に回収することは難しいです。
これは、判決が出たとしても、裁判所が強制的に被告から取り立ててくれるのではなく、遺産である預貯金を使い込まれた方が被告の財産を探したうえで強制執行の申立をしないといけないからです。
したがって、被告に全く財産がない場合は回収を諦めざるを得ない場合もあります。

被告が相続した遺産(不動産、預貯金)を差し押さえて回収する。

それでは、被告に一見財産がほとんど無いように見える場合がありますが、本当に財産はないのでしょうか。
この点、使い込みの案件では被相続人の遺産分割が未了の場合が多くあります。
したがって、被告自身は財産を持っていなかったとしても、相続により遺産を取得している可能性があります。
この場合は、判決を取得した上で、被告が相続した被相続人名義の預貯金や不動産の持分に対して差押を行ない、使い込まれた遺産預貯金の回収を図ることになります。

 

被告が相続した遺産を事前に処分するおそれがある場合は仮差押を行う

被告が遺産である預貯金を使い込んだ可能性が高く、しかも、被相続人から不動産の持分等を相続したが、訴訟提起前にこれらの財産を処分するおそれが場合は、相続した財産に対して仮差押を行うことを検討しましょう。
この仮差押という手続を利用することにより、訴訟が完結するまでの間に遺産である不動産を処分することを止めることができます。
もっとも、注意点としては、この仮差押を行うためには、担保金を用意しなければなりません。
不動産の価値にもよりますが、数十万円や数百万円を担保として供託しなければいけないので、仮差押をする側も金銭的に余裕がない場合は、仮差押の手続をとることは難しい時もあるでしょう。
また、仮差押を行ったが、その後の訴訟で完全に敗訴した場合は、被告の方から損害賠償請求を受ける可能性もあります。この点にも注意が必要です。

被告に財産はあるが、使い込まれた額の全部を賄えない場合

被告の財産を調査した結果、財産自体はあるものの、使い込まれた金額の全部をまかなうことができない場合があります。

この場合は、被告との間で和解や任意での交渉を行い、分割での支払を受けるのも一つの手です。

分割での支払いを受ける場合は、支払の遅延があった場合は一括払いに変更する規定や、遅延損害金等の規定を設けることによって支払をより受けやすくなるようにしましょう。

終わりに

以上、遺産である預貯金が使い込まれた場合にこれを回収する方法について解説をしました。
解説したとおり遺産である預貯金が全部使われてしまった場合であっても、遺産分割の状況次第では遺産を差押えることにより回収することが可能な場合もあります。
もっとも使い込まれた預貯金の回収については、裁判所への強制執行の申立等複雑な手続きもあります。

遺産である相続預貯金の使い込みについてお悩みの方は弁護士による無料相談を実施しておりますので、下記お電話番号にて、またはホームページもしくは本ブログのメール相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

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