親が借地の上に建物を建てて生活していたが、亡くなったため、遺産として借地権付建物が残されたということがあります。

この場合、借地権の遺産分割はどのような点に注意して行わなければいけないでしょうか。

以下では、借地権付建物の遺産分割について解説をしていきたいと思います。

 

借地権も相続の対象となる遺産である

借地権も遺産分割が必要

まず、借地権は目に見えるものでないため遺産分割をしなくても良いとも一見思いがちです。

しかし、借地権も遺産である以上遺産分割をする必要があるため、相続人間で借地権を分けなければいけません。

なお、被相続人が以前借地権を有していたとしても、相続人の一人が地主から底地を購入した等の理由により、相続開始時に借地権が消滅している場合があります。

この場合は別途特別受益の問題になる可能性があるので、注意が必要です。

借地権も相続税の対象財産になる

前述のとおり、借地権は遺産分割の対象となる遺産であることから、相続税の課税対象財産になります。

借地権の相続税評価は、更地に借地権割合を乗じて算出することになります。

借地権の相続に地主の承諾は必要ない

借地権を相続した場合、地主から、借地人が変わったのだから譲渡承諾料を支払え、または、借地権の無断譲渡だから借地契約を解除する!と言われるかもしれません。

しかし、このような地主の主張には理由がありません。

借地権の相続の場合は借地人である被相続人の地位をそのまま承継することから、借地権の相続の場合は地主の承諾はいらないのです。

ただし、これはあくまで遺産分割の場合で、遺言者があり、借地権が遺贈された場合は地主の承諾が必要になってしまいます。

借地権の遺産分割は代償分割か換価分割が良い

それでは、借地権についても遺産分割が必要であるとしても、どのように分割するのが良いでしょうか。

借地権の遺産分割をするにあたっては、権利関係や地代の支払方法が複雑になるので共有分割にはしないほうが良いです。

分割をするにあたっては、代償分割か換価分割が良いでしょう。

借地権の評価方法

代償分割をする場合は、借地権の法定相続分相当額を他方の相続人に支払わないといけません。

それでは、借地権の評価額はどのように算出するのでしょうか。

借地権の評価額は不動産業者に査定を依頼すれば、評価額の算出をしてもらうことができるので、不動産の査定を依頼をすると良いでしょう。

その他の簡易な方法としては、借地権は路線価を見れば、借地権割合が更地の何割かが示されているので、それを参考に評価額を算出しましょう。

借地権と底地を交換して土地と建物を元手に融資を受ける

借地付建物を代償取得したいが、手元にお金がないということがあると思います。

その時の解決方法の一つとしては、地主と交渉の上で借地権と底地を交換し、更地上の建物とした上で、銀行から融資を受けるという方法があります。

但し、この方法はあくまで地主次第なので、地主と交渉する必要があります。

 

借地権の換価分割の場合は、譲渡承諾が必要な場合がある。

借地権付建物を売却して代金を分ける換価分割する場合は、地主の承諾が必要な場合があるので注意が必要です。

借地権を第三者に売買する方法

まず、借地権付建物を第三者に売却する場合は地主の承諾が必要になります。単に相続した場合は承諾はいらないのですが、この場合は相続した後に借地権を譲渡していることになるからです。

したがって、この場合は地主から借地権の譲渡承諾を得ましょう。なお、地主から承諾を譲渡承諾を得られない場合は、別途手段が必要です。

借地権を地主に買い取ってもらう方法

借地権の売却先としては、地主もありえますので、借地権を地主に買い取ってもらうという方法もあります。

借地権を売却する場合は地主の承諾が必要ですが、地主に借地権を買い取ってもらう場合は、地主が買主ですので地主の承諾は不要になります。

不動産を地主と共同売却して代金を分割する方法

借地権付建物の売却方法として、地主と共同で土地と建物を第三者に売却して、売却代金を分配するという方法もあります。

この場合も売却するについて地主の承諾がありますので、別途地主から承諾を得る必要はありません。

地主と共同して売却する場合は、地主との間で代金の分配割合を決めておくことが必要になります。

遺産分割までの地代・更新料の支払

なお、相続開始後遺産分割が完了せず、借地権の処遇が決まらない間も地代は発生することになります。

この場合、遺産分割が完了していないからといって、地代を支払っていないと借地契約が解除されてしまうので、地代の支払を怠らないようにしましょう。

また、運悪く遺産分割までの間に更新料の支払時期が到来してしまうことがあります。

そもそも、更新料を支払う義務があるか否かは契約書の規定等によって異なりますが、更新料を支払わなければならない場合は、支払を怠ると契約解除になりかねないため、支払を怠らないように注意しましょう。

終わりに

以上、借地権の遺産分割について記事を作成しました。

借地権の遺産分割の場合は、相続人間に加えて、地主との関係もあるので遺産分割の際には注意が必要です。

誤った処理をして、借地契約が解除される等の事態にならないためにも、借地権が絡む遺産分割をする際は弁護士に相談されることをお勧めします。

借地権を含む遺産分割についてお悩みの方は無料相談を実施しておりますので、下記お電話番号にて、またはホームページもしくは本ブログのメール相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

電話誘導